主婦の書く官能小説

お気楽主婦が暇に飽かせて書いた官能小説です。

2015-01-01から1年間の記事一覧

毒牙(4)

去年の冬の賞与の支給後、太田は久々にキャバクラに足を運んだ。住宅ローンの返済と二人の子供の教育費に追われる太田には、一度行けば15,000円はかかるキャバクラは高嶺の花だった。だが、家に帰れば、日常的に不機嫌な嫁の視線を気にしながら手酌で発泡酒…

毒牙(3)

そう自分を戒め机に戻ろうとしたその時、生徒用の下駄箱から一人の男子生徒が姿を現した。長身、ウェーブのかかった明るい栗色のセミロングの髪。バッグを右手で肩にかけ、左手はポケットに入れて、ローファーのかかとを踏みつけて物憂げに歩く。(藤ヶ谷!)…

毒牙(2)

チャンスは一回だ。このカードが価値があるのは今だけだ。これを逃したら、俺を待っているのは、最近はすっかり体の接触を嫌がり、たまのセックスの際も煩わしげに目を閉じなんの反応もしない嫁との交わりだけだ。(結局、露見さえしなければ犯罪は無かったも…

毒牙(1)

* * * * * * * * 採点用の赤ペンにキャップをすると答案の束の横に置き、「やれやれ…」と呟き伸びをする。首を自分の手で揉みながら太田は、席を立って窓辺に歩み寄った。中間試験の採点が終わった。私大文系クラスの点が伸び悩むのは仕方がない。今…