主婦の書く官能小説

お気楽主婦が暇に飽かせて書いた官能小説です。

毒牙(1)

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採点用の赤ペンにキャップをすると答案の束の横に置き、「やれやれ…」と呟き伸びをする。首を自分の手で揉みながら太田は、席を立って窓辺に歩み寄った。中間試験の採点が終わった。私大文系クラスの点が伸び悩むのは仕方がない。今の高校生に、試験科目の有無に関わらず、教養としてきちんと学べ、などというのはナンセンス、鼻で笑われるのが落ちだ。とりわけ太田の教えているのは化学だ。イオンだ、有機だ、熱力学だ、と言っても文系志望の連中の耳にはギリシャ語のようにしか聞こえないだろう。だが、国立理系クラスのあの体たらくは… 思わず顔をしかめる。いくら今回の範囲が、苦手にする者の多い、多糖類の加水分解と還元性がメインだと言っても、センター試験レベルより易しめに作問したあの問題で、平均が50点を割り込むというのはどういうことだ。口では東工大だ筑波だ横国だ、と威勢の良いことばかりを言っておいて…

その中で燦然と輝く中島の88点。2位が確か64点、3位が50点台だから、まさに一頭地を抜く存在だ。

中島結衣奈。清楚、と言う熟語が制服を着て歩いているかのような出で立ち。162cm、47kgのスレンダーな肢体(太田は担任教師の特権を利用して、春先の身体測定結果を盗み見、彼女のスペックを把握している)。授業中の、キラキラと光る眼差し。太田の授業を聞きながら教科書に視線を落とすと、睫毛の長さがいっそう際立つ。容易に解けない問題にぶつかると軽く唇を噛むのが彼女の癖だ。その中島の、あのしどけない、あられもない姿…。それを思い浮かべた瞬間に、身体中の血流が股関に集まるのを感じる。

どうする?

太田はまだ迷っていた。

最悪の場合は、馘どころか刑務所行きだ。前科持ちとして一生日陰者で生きる…それも女子生徒相手の破廉恥罪だ。当然、嫁はなじり罵声を浴びせた挙げ句、家を出ていくだろう。太田の父親はサラリーマンだったから、継ぐような家業もない。前科を持った元教員が、妻子にも去られ、職を失い、どう残りの人生を生きる?

だが…

手の中にあるカードの価値を考えると、むざむざこれを手放すのはいかにも惜しい。あの、中島結衣奈をこの手で抱くことができるかもしれないのだ。気の置けない教員同士の飲みの席で、猥談になれば必ず登場する、言わば全校男性教師の間のオナペット…その中島の胸を揉みしだき、秘部を晒させ、さらにはそこにガチガチになったぺニスを突き立てることができるかもしれないのだ。